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大学教育の競争

この2年間。大学で教務関係の仕事を担当していたことで、随分大学教育についての勉強をすることになった。大学教員は自分の専門領域やその周辺領域については日頃から専門書や学術雑誌、研究者間の日常的な交流によって新しい情報を得ている。しかし自分の所属する大学という制度が、現在どういう社会環境に置かれているか、他大学がどんな教育実践を行なっているか、存外知らない。

まして他の大学でどんな新しい教育プログラムや教育方法の工夫があるのか、自分の専門外であれば、全く知らない。カレッジマネジメントやらビットゥイーンなどという大学専門雑誌には日本中世界中の大学教育について紹介されているが、特色GP、現代GPは他学の教育について広く知る機会を与えた。

大学教育に競争原理を導入するために、特色GP(Good Practice)という各大学で実施している特色ある教育に対し選考して補助金をつける制度、現代的ニーズに合致し取り組もうとしている教育を選考し補助金をつける現代GPという制度も開始され、各大学必死で申請書を作成している。

しかしである。選考に際し、大学規模も、教員数も、学生対教員の人数比も、取り組む教員の数も考慮されずに選定されていて、僕は非常に不公平感を感じている。百数十人の教員がいてその中のわずか2名の教員が取り組んでいる教育実践に対し多額の補助金が交付され、あたかもその大学の教育全体が優れているかのように宣伝される。聞けばその大学は1学年の学生数と教員数はほとんど同じという非常に恵まれた環境にある。もちろん国立大。そんなところと地方の小さな私立大学とまったく同じ土俵で競争させられている(というのは僕の愚痴ですね)。

特色GP、現代GP、選考の透明性と公平性を導入してもらいたいが、そんなもの導入しなくても、多くの大学教務担当者は日々新しいそして学生の役にたつ教育方法の開発に力を注いでいる。なぜなら今は大学淘汰の時代だからである。
by north-archaeo | 2005-03-05 09:36 | 大学教育