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あの日から7年

 毎日新聞の旧石器捏造のスクープ報道から今日で7年が経った。昨年は岩宿フォーラムに居たが、今年は静かないつもの月曜日だった。7年前のことを思い出す人も少なくなったのかもしれない。今朝、4年生とスクープ報道の話をした。彼らが中学3年生のことでテレビの特集番組を観たのをよく覚えている、という。それぞれの場所でそれぞれの記憶があることを学生たちと話した。毎年1年生の授業で捏造事件について詳しく話しているので、ボクと事件の関わりについてはよく理解してくれている。



 検証発掘以後、ボクは本格的な学術調査をできずにいる。学内行政に深く関わる年齢になり、まとまった時間が作れないこともあるが、遺跡を調査することへの「恐れ」のような気持ちも大きい。大学に身を置く者として、行政発掘のない地域や一定の目的での発掘調査を行うべきであると思っているのだが、果たせないでいる。
 先日のナウマン象発掘地点の地質調査は示唆に富むものであり、D.クラークの「The Loss of Innocence」で述べられていた調査のあり方、総合的・分析的な考古学を支える枠組みが連想され大きな刺激を受けた。
 考古学調査はこの7年間でどう変わったのだろうか。旧石器調査は変わったのだろうか。旧石器研究は変わったのだろうか。考古学を取り巻く情勢は随分変わってきている。そしてボク自身は調査をどう計画したらよいのか考えこんで、立ちすくんでいるのかもしれない。来年はそこから少し前進してみたいが・・・。
by north-archaeo | 2007-11-05 18:47 | 旧石器