西東京市にある下野谷遺跡第18次調査の報告書を東京都埋蔵文化財センターから送っていただいた。いつもセンターから報告書を送っていただき感謝している。旧石器が出ていたのでパラパラと読んでみたがどうもおかしい。
本文(25ページ)では、7つの文化層に分かれるとあり、第1~4文化層は「1枚ないしは2枚の文化層に収斂する可能性がある」とされている。どう収斂されるか文化層分けの基準について記載はない。個別のユニットの記載を読むと「Ⅳ層上部に相当する」などと書かれている。
第1文化層(第Ⅳ①層) 5号ユニット・12号ユニット
第2文化層(第Ⅳ①層~第Ⅳ②層) 1号ユニット・14号ユニット
第3文化層(第Ⅳ②層上半部) 2号ユニット・4号ユニット
第4文化層(第Ⅳ②層下半部) 3号ユニット・10号ユニット
第5文化層(第Ⅴ層~第Ⅵ層) 13号ユニット
第6文化層(第Ⅵ層下部=漸移層相当) 6号ユニット・7号ユニット・11号ユニット
第7文化層(第Ⅸ層)8号ユニット・9号ユニット
ところが、第8図~11図(1/250)には以下のように層位別ドットマップが示されユニットが分けられている。
ユニット分布図(Ⅳ層)(第8図)には1号・2号・5号・12号ユニット
ユニット分布図(Ⅳ~Ⅴ層)(第9図)には3号・4号・6号・10号・14号ユニット
ユニット分布図(Ⅵ層)(第10図)には7号・8号・9号ユニット
ユニット分布図(Ⅶ層)(第11図)には11号・13号ユニット
つまりⅣ層とされた第8図には第1文化層全部と第2文化層のうち1ユニットそして第3文化層から1ユニットが載っている。Ⅳ~Ⅴ層とされた第9図には第2文化層から1ユニット、第3文化層から1ユニット、第4文化層全部、第6文化層から1ユニットが選ばれている。Ⅵ層とされた第10図には第6文化層から1ユニット、第7文化層が全部(えっ?第7文化層はⅨ層では???)。Ⅶ層とされた第11図には第6文化層から1ユニットと第5文化層の1ユニットが選ばれている。
この時点で何が何だか分からなくなってきたが、層が薄くて文化層分けの難しいⅣ層を除いて、Ⅴ層以下出土のユニットについて26ページ以降の各ユニットの垂直分布と層位の図(1/40)を見てみると、6号ユニットは礫9点石器1点でⅥ層下部に貼りつくように出土しているのにⅣ~Ⅴ層分布図に載っている。8号ユニットは礫群でⅨ層中位なのになぜか分布図ではⅦ層に。9号ユニットはⅦ層下面に貼りつくように出土しているのに何故かⅥ層分布図に。11号ユニットはⅦ層分布図に載っているが、礫群がありⅥ層のど真ん中にしか見えない。13号ユニットはⅤ層出土と判読できるが何故かⅦ層分布図に載っている。
もう何が何だか分からないのだ。
ユニット別の記載を読むと上でユニット別分布図から判読したのと概ね同じように書いてある。つまり第8図~11図はどうも文化層が混乱したまま制作し掲載してしまったようである。ちょっと考えられないミスである。誰も気付かなかったのだろうか?どんな整理作業だったのか、ちょっと考えてしまった報告書だった。