カテゴリ:旧石器( 66 )

東京都埋蔵文化財センターが今年度調査していた北区桐ヶ丘遺跡が整理作業中である。現場にも何度かお邪魔させてもらった。久々の広大な旧石器の現場で、崖線から数十メートル台地内に入っても遺物集中部が存在するのが印象的だった。こうした分布は赤羽駅あたりから西へ延びる谷の最奥部に位置するためだろうか。ロームを削ったことのない外国考古学が専門の院生たちを連れて現場を見学させてもらったのは暑い時分だった。

整理作業は接合も文化層分離もこれからというところだが、五十嵐さんに無理を言って石器を見せてもらった。砂川期、Ⅳ下、Ⅸ下は確実で、Ⅵ層、Ⅶ~Ⅸ上がどう分離できるかな、という感じだった。Ⅶ層以下が明瞭な集中部を成さず広く散漫に分布しているので、やっかいだろう。Ⅸ下にはホルンフェルス製の厚手の石斧があった。文化層は不明だが基部の表裏面に平坦剥離のある精製の台形様石器、基部が丁寧に加工されたペン先形の台形様石器がある。またⅦ層段階と思われる大形石刃が何本もあり、それが白色に風化する黒色頁岩で北関東産のように思われた。安山岩も全体に多い。武蔵野台地では屈指のⅦ~Ⅸ層資料だろう。

武蔵野台地と言っても野川流域とはかなり違う石材組成。砂川期の石器群も安山岩のナイフが多く、わずかに練馬区高稲荷のような珪質頁岩製もあった。武蔵野北西部とは全く違う石材組成だ。武蔵野北東部の旧石器資料は多くないので、今回の見学はとても刺激的だった。接合や文化層分離が進む3~4月が見頃と教わったので、桜の季節にまた大塚へ石器を見に行かなくては。
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by north-archaeo | 2013-12-05 15:42 | 旧石器
『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』という記録映画を有楽町マリオンのTohoシネマズで封切り日の昨日観てきた。1994年に発見されたフランスのショーヴェ洞窟の壁画を3Dでみせるのだが、この3D映像がすごい。洞窟壁面のくぼみや出っ張り、どういった場所に壁画が描かれているのかよくわかる。ショーヴェ洞窟壁画の写真では全く分からなかったのに、やはり3D。こういう記録には3Dは最適だ。
また壁画保存のため非常に厳しい制限が行われており、研究者も撮影スタッフも限られた時期の数時間しか洞内に滞在できない様子もよくわかった。報告書で気になっていた祭壇状の鍾乳石上に置かれたホラアナグマの頭骨は1シーンしか出てこなかったが、やはりとても印象に残った。後半、ドイツのビーナス像の話題や投槍器の話題等も取り上げられていたが、全体としては派手な演出もなく、よく出来た記録映画になっていた。
3週間の上映期間で、有楽町では毎日20時からの1回の上映しかない(六本木ヒルズは上映回数が多いようだ)。昨夜、座席はとても空いていた。
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by north-archaeo | 2012-03-04 18:50 | 旧石器
6月27日の日曜、明治大学で開催された日本旧石器学会に行ってきた。旧石器学会に参加するのは初めてだった。初日の土曜には所用で参加できず、日曜だけ参加したのだが、とても印象深い、記憶に残る一日となった。列島最古の旧石器が今年度のテーマだった。

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by north-archaeo | 2010-07-01 17:25 | 旧石器
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今年9月に刊行された翻訳本だが最近手に入れた。日本語タイトルが悪い。原題は『FIXING CLIMATE What past climate changes reveal about the current threat ―and how to counter it』である。海洋大循環と氷期ー間氷期サイクルについての学説で有名なブロッカーとサイエンスライターにより一般向けに書かれた本である。ブロッカーが氷期研究に向かっていく様子、カリブ海のサンゴや海底堆積層の微化石の酸素同位体分析の話や、ミランコビッチ・サイクルの再評価の状況など、今日の氷河期の古気候復元の研究初期からの様子が描かれていて大変面白い。ミランコビッチ・サイクルと気候変動とをどう結びつけるのか、以前からボクがよく分からなかった部分がとても分かりやすく書かれていて助かった。お薦めの一冊。
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by north-archaeo | 2009-12-01 11:19 | 旧石器
9月12日土曜日に本年度の峠下遺跡の調査は終了し、13日に機材を搬出した。
1959年調査地点(A区、B区)とは離れた場所に設定したトレンチで石器ブロックが当たった(今回は全部を掘りきれなかった)。
峠下遺跡ののる台地は、中央部が高く東西が低くなっている。1959年調査では台地の先端(東端)に調査区が設定されていた。今回石器ブロックが当たったのは台地中央部の標高の高い地点である。点数は多くないし細石刃核も出土しなかったが、幸い白滝型細石刃技法で剥がされた細石刃が出土した。ファーストスポール、セカンドスポール、尖頭器先端部なども出ている。
また1959年調査のB区に近い地点にあけたトレンチでもローム層から1点の剥片が出た。

調査前、大型器械による耕作で旧石器包含層が失われているのではないか、と心配していたが、未耕作地には旧石器包含層が残っていることが確認できた。

2大学合同での考古学実習という形態は全国的にも珍しいと思うが、互いの人的、物質的資産を提供し合って、非常に良い調査協力体制がとれたと思う。
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by north-archaeo | 2009-09-15 12:07 | 旧石器
今日は快晴。羊蹄山も綺麗に見えて作業もはかどった。Dトレンチは表土から50点ほど石器が出て、ローム層からも石器が出土。うまく石器ブロックを当てたようだ。尖頭器の基部、細石刃などが出ているが、時期その他は不明。
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by north-archaeo | 2009-09-08 23:18 | 旧石器
羊蹄山には雲がかかって終日山頂は見えませんでした。午後から作業開始。道具を運び、現場にテントを設営し、A〜Cトレンチの表土はぎに着手。時折雨の降る悪天候の中の作業でしたが、Aトレンチの表土層からバイフェイスの製作剥片が1点出土。明日も雨かなあ。
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by north-archaeo | 2009-09-07 23:01 | 旧石器
昨日は峠下遺跡の調査準備で杭打ちに行ったのだが、草刈りだけで終わってしまった。古い笹が折り重なって密集していてなかなか手ごわかったのだ。午後から矢吹さんと2人で刈ったのだが全部は終わらず、残りは矢吹さんにお願いした。感謝。
臼杵先生のGPS測量は無事にデータ収集を終えた。さすが臼杵先生はモンゴル調査で慣れた手際で、学生共々GPS実習を受けたようだった。
天気が回復する来週、今度こそ杭打ち。それにしても国道393号線の開通(昨年秋)で倶知安は近くなった。小樽朝里経由で大学から峠下遺跡まで2時間を切る。正直助かる。
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by north-archaeo | 2009-08-27 17:53 | 旧石器
9月7日~13日の予定で倶知安町の峠下遺跡の発掘調査を実施する予定。
札幌学院大学と札幌国際大学の合同での考古学実習の一環として実施する。

峠下遺跡はちょうど50年前に調査され、峠下型細石刃核の標識遺跡でもある。
旧調査区の発見、旧石器出土層の確認、新たな石器集中部の確認などを目的としている。
遺跡は舌状台地上の畑地に所在するが、耕作により包含層はかなり削平されているようだ。
台地縁辺部に試掘を入れる予定である。
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by north-archaeo | 2009-08-13 14:58 | 旧石器
去る4月25日(土)、北海道旧石器文化研究会が開催された。たしか数年ぶり。それも4月に集まったのは初めてかもしれない。12月の北海考古学会の翌日に集まるのが恒例だったから。時間を超過する発表も多く、また年代や石器群の位置づけをめぐる議論を喚起するような発表もあり、非常に意義深い会となった。

元町2遺跡の整理が進みその全体像が豊富な実測図と報告された。またホロカ型彫器、大型石刃、大型舟底形石器を搬出する石器群の位置付けについて、旧白滝15遺跡の資料整理を根拠として積極的な提議があった。これが道内全体に敷衍できるのか、興味深い話題提供だった。旧白滝3遺跡の調査では白滝遺跡群では異例の良好な堆積から石器群が層位的に検出され、炉跡や炭化物集中があったため各石器群のC14年代も示された。この年代値は今後論議を呼ぶものと思われる。今回は元町2遺跡、旧白滝3遺跡、アンカリトー7遺跡と広郷型細石刃核石器群の報告が目立った。

今年度、役職の変更があり、会長は北沢氏から寺崎氏となり、副会長に山原氏、事務局を直江氏と高倉氏が担当することとなった。

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by north-archaeo | 2009-04-27 16:15 | 旧石器