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明日は卒業式

 明日は卒業式である。ボクは卒業式が嫌いで、あまりめでたいとは思えない。学生たちにとっては大学を卒業し、社会に出て行く、記念すべき日なのだろう。しかしせっかく育てた(育った?)4年生が、居なくなってしまう、と思うと残念でならない(自分勝手です、はい)。



 今年の4年生は特に研究熱心で良い卒業論文を書いた学生が何人もいた。学内の懸賞論文コンテストで最優秀賞、優秀賞を取ったのはその考古学・博物館コースの4年生だった。しかし皆、企業へ就職していく。大学院へ進学はしない(出来ない)。
 ボクが読んでいない論文の解説をしてくれたり、論文について批評し合ったり、資料を一緒に見て観察方法について話したり、彼らとの時間は楽しかった。でもその彼らも卒業。来客の対応を任せても安心していられた、遺物の出し入れを任せられた、4年生は居なくなってしまう。これがボクが卒業式を嫌う理由だ。就職活動と卒業論文を通過することで、彼らは驚くほど成長する。そうした彼らとの日々は至福なのであるが、永くは続かないのである。
 大学院への進学で学費も生活費もまかなえる本格的な奨学金がない。親への負担なしに大学院へ進学は出来ない。優秀と思っても進学を勧められない状況。大学院へ行けば研究の続けられる職にも就けるよ、と言えない現実。閉塞感、だなあ。