S訪間氏からのメール

K菅氏への反論を書こうと文案を練っていたら岩宿フォーラムで基調講演を行ったS訪間氏からもメールが寄せられた。なんだかここは掲示板の様相を呈してきたが、嬉しいことだ。下に掲載しておく。

二人とも現代型ホモサピエンス、古代型ホモサピエンスかという人類問題に触れているが、ボクはこの問題には言及しない。フローレス島で明らかになったようにエレクトスの末裔が島嶼部で残存したという事実の前には、人類問題に慎重にならざるを得ない。人骨化石の希少な日本列島にあって、文化現象だけから人類問題にあえて言及することは避けたいという気持ちである。

S訪間氏のメールにある「武蔵野台地においては、Ⅹ層あるいはⅩb層相当出土の石器群の持っている多様な顔つきを層位的に区分することができないという事実を前提に」というのは、全く同感であるが、層位的に区分できないことと、だから全部同時期であると結論付けることとは違うとボクは言っているのである。そのへんのところはまた別に書くことにしよう。




(以下、S訪間氏からのメール)
基調講演を担当した者としては、多くの方にうまく伝えることができたか不安ですが、小菅さんが作った図録の写真を再構成してパワーポイントを作ってみました。

愛鷹から下総までの立川ローム層の対比と当該石器群の出土層位、研究史的に当該石器群がどのように捉えられ、現在どう評価しているかについてもある程度ご理解いただけたのではと考えます。その上で、今後の様々な議論が生まれればよいと考えます。このブログでの議論もそのひとつですね。

武蔵野台地においては、Ⅹ層あるいはⅩb層相当出土の石器群の持っている多様な顔つきを層位的に区分することができないという事実を前提にして、これらの石器群が残された背景、それは遺跡形成や遺跡の機能など視点を持ちながら再評価すべきだと考えています。

捏造事件後に生き残るかもしれない石器群がいくつかあげられますが、それらについても10万年を超えない年代が与えられ、なおかつその年代の根拠は確実とはいえないようです。
かりに5万年前後の古さがあったとしても、古代型ホモサピエンスと考えるよりは、現代型ホモサピエンスと捉える方がより理解しやすいと考えています。

日本列島の人類の登場という歴史の一ページ目を考える視点は多様でしょうが、まずは、考古学的資料を基に確実にいえることはどこまでかを押さえることが今回のフォーラムの主目的でした。その点では、一定の成果をあげることができたと考えています。

東海から関東・中部については検討をしましたが、野尻湖湖底の資料など未検討なものも多く残りました。それらについては、何らかの形で検討する機会を持ちたいと考えています。
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by north-archaeo | 2006-11-15 19:51 | 旧石器