ジョン・D・コックス著 『異常気象の正体』

ジョン・D・コックス著 東郷エリカ訳 『異常気象の正体』 河出書房新社を紹介したい。原題は CLIMATE CRUSH :Abrupt Climate Change and What It Means for Our Future 。グリーンランドの氷床コアと格闘し、氷期の急激な気候変動を解明した、多くの研究者らに取材した良質の科学ジャーナリズムである。
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研究者らが、どのように氷床コアを扱い、古気候を探り出すのかが詳細にレポートされており、研究の最前線の様子がよく分かる本となっている。GRIP、GISP2などの大規模なコア採取計画がどのように行われたのか、ヤンガー・ドリアス期が氷床コアではどのように観測されるのか、ダンスガード=オシュガー・イベントとして知られる現象がどのように見つかったのか、更に世界各地の堆積物で同じような証拠が見つかっていく様子など、研究者に取材して詳細に描かれている。90年代以降、こうした用語と鋸歯状の気温変化グラフは目にしていても、それらがどのように見出され、急激な気候変動の原因モデルの構築していったか、あまり知らなかった。旧石器研究者には興味深い読み物であると思う。

しかし、現在の気候変動についてなど全く扱っていないのに、それを最近の異常気象を連想させるような情けないタイトルを付けてしまって本当に残念である。また引用参考文献リストをすべて省いてしまっており、調べることもできない。これもまた酷い。この本の文献リストのページ数をケチるなんて、出版社の見識を疑う。最低である。
原著を注文するかなあ。
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by north-archaeo | 2006-07-04 18:45 | 旧石器