日本考古学協会での研究発表(2)

今回は岩手県の金取遺跡、群馬県の「前期旧石器」、長野県の竹佐中原遺跡2005年調査と第1会場での発表を聴き、K武さんたちの栃木県高原山黒曜石原産地の発表は昨年札幌の「東北日本の旧石器文化を語る会」で聴いていたのでパスさせてもらって図書販売会場へ向かった。




金取遺跡2次3次調査は出土遺物は砕片ばかりで、なかなか苦しい発表となっていた。質問者のO田氏が指摘していたのは堆積状態が悪い(複数の広域火山灰がひとつの層準から出ている)、だからルミネッセンス法による年代値が一定しないし、炭素年代法による年代値も上下の層で逆転してしまっているのでは、という指摘は手厳しいが当たっているかもしれない。最下層の石器が出た4層の平面分布範囲は調査区外に広がっていると予想される、という発表者の説明だったから今後調査範囲を広げてみる必要があるように思った。有望な遺跡だけに是非とも再々調査を期待したい。

竹佐中原のT田さんの発表はポイントが良く整理されていた。特に今回発表のC地点の石器群が、2001年調査のA、B地点(報告書既刊)の編年的評価の再検討を迫る内容を有していることが明確に示されていた。別時期と判断するのか、同時期と判断するのか、今後の検討を要することが発表要旨でも明確にされていたし、パワーポイントのスライドもそれを補うように分かり易く作られていた。

午後は第4会場の蛍光X線による黒曜石原産地推定の発表が2本続いていたので、これを聴かせてもらった。これがまた大波乱の2つの発表であった。K武さんが発表者でM月さん、T村さん、O屋さんなど多くの研究者が名を連ねた発表だったのだが、蛍光X線による黒曜石の原産地推定の共通フォーマットつくりを提案したものであった。これに次の発表者であり、K武さんの発表で批判されていたI上氏が噛み付いた。I上氏自身の発表でも再三、直前のK武さんらの発表についての批判を織り交ぜながらの説明となり、当然質疑応答でも激しいやりとり。しかし時間切れ。もっと聴きたいというところで時間切れとなった。

午前の群馬県の「前期旧石器」の発表でも質疑応答の時間が十分には確保できず、当然質疑は打ち切られた。
たまたま午前も午後も質疑打ち切りの発表を聴く事になってしまった訳である。

今年の協会は過去最高の88本の研究発表の申し込みだったという。群馬県の「前期旧石器
」は当然激しい質疑が予想され、協会側も昼休みに別途質疑を行う時間をセットしようと要請したようであるが、芹沢先生納骨のため発表者不在で立ち消えとなったらしい。せっかくの協会の場なのに、残念なことだ。

二つの会場の司会のご苦労をみるにつけ、大会の運営を考える時期に来ているように思った。発表会場をもっと増やし、質疑の時間をたっぷり取るか、ポスターセッションを設け、そこで関心のある者同士が会話し、直接質問する形を取るのか。
そして土曜日の講演会は止めて、土曜日にも研究発表を開催すれば時間的には余裕が出来るのではないか。
土曜日の講演も聴かず、日曜日もごく少数の発表しか聴いていない僕がこんなことを言うのは、不適切かもしれないけど。そんなことを考えた協会だった。
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by north-archaeo | 2006-05-29 19:59 | 考古学