I田先生の巻頭言

日本旧石器学会誌の第1号の巻頭言をI田先生が書いている。少し長めの巻頭言であるが、面白いのでゼミでも取り上げて学生と一緒に読んでいる。日本の旧石器は本当に狩猟文化の道具なのか?という疑問を正直に述べている。私が北海道に来て旧石器資料を見るようになって最初に思ったのは「遺物量が多い」ということである。スクレイパー、彫器、細石刃の数量に圧倒された。自分が学生時代から見てきた南関東の旧石器遺跡の遺物量は比較すると貧弱である。今思うと、あんな遺物量でどんな暮らしをするのか?本当に短時間の滞在で遺された遺跡なのか?繰り返し利用されていないのか?その場所での活動量が違うのか?南関東の旧石器人の本来の活動場所は、今は海の底になっている埋没段丘ではないのか?などと考えたりもした。

そしてやはり本州の旧石器遺跡には「獣の臭いがしない」ように感じていた。

北海道の細石刃石器群の遺跡は「獣くさい」のだ。動物の狩猟、解体、皮革加工、骨角加工の石器が数多く出土し、まさに石器を消費しているのだ。本州では東北地方の石刃石器群には同じ印象を持つが、南関東以南では本当にそうした気配が希薄なのだ。長野のT氏の論文にもエンドスクレイパーの全国数量比較をした面白い結果が提示されていたが、をI田先生の巻頭言はそれを多方面から指摘したものだ。

旧石器文化像は列島内で一様ではないようだ。
[PR]
by north-archaeo | 2005-10-03 13:12 | 旧石器