北区桐ヶ丘遺跡の旧石器

東京都埋蔵文化財センターが今年度調査していた北区桐ヶ丘遺跡が整理作業中である。現場にも何度かお邪魔させてもらった。久々の広大な旧石器の現場で、崖線から数十メートル台地内に入っても遺物集中部が存在するのが印象的だった。こうした分布は赤羽駅あたりから西へ延びる谷の最奥部に位置するためだろうか。ロームを削ったことのない外国考古学が専門の院生たちを連れて現場を見学させてもらったのは暑い時分だった。

整理作業は接合も文化層分離もこれからというところだが、五十嵐さんに無理を言って石器を見せてもらった。砂川期、Ⅳ下、Ⅸ下は確実で、Ⅵ層、Ⅶ~Ⅸ上がどう分離できるかな、という感じだった。Ⅶ層以下が明瞭な集中部を成さず広く散漫に分布しているので、やっかいだろう。Ⅸ下にはホルンフェルス製の厚手の石斧があった。文化層は不明だが基部の表裏面に平坦剥離のある精製の台形様石器、基部が丁寧に加工されたペン先形の台形様石器がある。またⅦ層段階と思われる大形石刃が何本もあり、それが白色に風化する黒色頁岩で北関東産のように思われた。安山岩も全体に多い。武蔵野台地では屈指のⅦ~Ⅸ層資料だろう。

武蔵野台地と言っても野川流域とはかなり違う石材組成。砂川期の石器群も安山岩のナイフが多く、わずかに練馬区高稲荷のような珪質頁岩製もあった。武蔵野北西部とは全く違う石材組成だ。武蔵野北東部の旧石器資料は多くないので、今回の見学はとても刺激的だった。接合や文化層分離が進む3~4月が見頃と教わったので、桜の季節にまた大塚へ石器を見に行かなくては。
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by north-archaeo | 2013-12-05 15:42 | 旧石器