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最近全くアップしていないこのブログですが、ここに記しておきます。
旧石器捏造の毎日新聞スクープから今日で15年になります。最近この話題にあまり接しなくなりましたが、今年も来週の授業で、この事件をテーマに話します。リアルタイムの記憶のない学生が増えました。歴史の授業で聞いた、という大学生が多いのです。だからなのか15回の中でベスト授業、と学期末の授業評価アンケートにコメントする学生が毎年います。
旧石器研究は15年で何が変わったのでしょうか。変わっていないという研究者もいます。しかし確実に前に進んだこともあります。多くの旧石器研究者の努力で、日本旧石器の国際化は確実に進みました。アジアやユーラシアの中での日本旧石器を相対化し海外への発信することは成功しつつあります。
「列島最古の旧石器」については、どうなったでしょう。この議論は現在も混沌の中にあります。自然破砕の研究が進んでいないため、人工品・自然破砕品の判別問題は解決していません。こうした基礎研究はなかなか進みません。
また後期旧石器以前の石器の可能性がある石器群について、扱わない、触れない、語らない、という立場の研究者が多いのも現状です。当然でしょう。
この15年を振り返り、私がお話を聞いてみたい研究者3人に話し合いいただく場を用意しようと思っています。詳細は後日。

# by north-archaeo | 2015-11-05 17:46 | 捏造事件
東京都埋蔵文化財センターが今年度調査していた北区桐ヶ丘遺跡が整理作業中である。現場にも何度かお邪魔させてもらった。久々の広大な旧石器の現場で、崖線から数十メートル台地内に入っても遺物集中部が存在するのが印象的だった。こうした分布は赤羽駅あたりから西へ延びる谷の最奥部に位置するためだろうか。ロームを削ったことのない外国考古学が専門の院生たちを連れて現場を見学させてもらったのは暑い時分だった。

整理作業は接合も文化層分離もこれからというところだが、五十嵐さんに無理を言って石器を見せてもらった。砂川期、Ⅳ下、Ⅸ下は確実で、Ⅵ層、Ⅶ~Ⅸ上がどう分離できるかな、という感じだった。Ⅶ層以下が明瞭な集中部を成さず広く散漫に分布しているので、やっかいだろう。Ⅸ下にはホルンフェルス製の厚手の石斧があった。文化層は不明だが基部の表裏面に平坦剥離のある精製の台形様石器、基部が丁寧に加工されたペン先形の台形様石器がある。またⅦ層段階と思われる大形石刃が何本もあり、それが白色に風化する黒色頁岩で北関東産のように思われた。安山岩も全体に多い。武蔵野台地では屈指のⅦ~Ⅸ層資料だろう。

武蔵野台地と言っても野川流域とはかなり違う石材組成。砂川期の石器群も安山岩のナイフが多く、わずかに練馬区高稲荷のような珪質頁岩製もあった。武蔵野北西部とは全く違う石材組成だ。武蔵野北東部の旧石器資料は多くないので、今回の見学はとても刺激的だった。接合や文化層分離が進む3~4月が見頃と教わったので、桜の季節にまた大塚へ石器を見に行かなくては。
# by north-archaeo | 2013-12-05 15:42 | 旧石器
下記要領で早稲田大学考古学研究室の実習発掘を行ないます。今夏の実習発掘は千葉県芝山町高田2号墳の調査を8月に実施し、栃木県栃木市岡之内遺跡での調査を9月に行います。
岡之内遺跡では有舌尖頭器や縄文土器などが採集されいています。今回の調査は試掘で草創期、旧石器包含層の確認を行う計画です。来訪希望の方は事前にご連絡ください( nasa11@waseda.jp )。

場所 岡之内遺跡(栃木県栃木市大久保町387)
期間 2013年9月2日〜13日
目的 縄文草創期〜旧石器包含層の確認
宿舎 太平少年自然の家


# by north-archaeo | 2013-08-31 16:44 | 考古学
『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』という記録映画を有楽町マリオンのTohoシネマズで封切り日の昨日観てきた。1994年に発見されたフランスのショーヴェ洞窟の壁画を3Dでみせるのだが、この3D映像がすごい。洞窟壁面のくぼみや出っ張り、どういった場所に壁画が描かれているのかよくわかる。ショーヴェ洞窟壁画の写真では全く分からなかったのに、やはり3D。こういう記録には3Dは最適だ。
また壁画保存のため非常に厳しい制限が行われており、研究者も撮影スタッフも限られた時期の数時間しか洞内に滞在できない様子もよくわかった。報告書で気になっていた祭壇状の鍾乳石上に置かれたホラアナグマの頭骨は1シーンしか出てこなかったが、やはりとても印象に残った。後半、ドイツのビーナス像の話題や投槍器の話題等も取り上げられていたが、全体としては派手な演出もなく、よく出来た記録映画になっていた。
3週間の上映期間で、有楽町では毎日20時からの1回の上映しかない(六本木ヒルズは上映回数が多いようだ)。昨夜、座席はとても空いていた。
# by north-archaeo | 2012-03-04 18:50 | 旧石器
早稲田大学考古学研究室の城倉先生が現在、千葉県芝山町の前方後円墳 高田2号墳の発掘調査を行っている。ゼミ生を中心に有志学生が参加している。下記ブログで毎日発掘の様子がアップされている。昨夏、測量調査を実施し、今回発掘調査を行っている。

早稲田大学考古学研究室 高田2号墳発掘調査記録
# by north-archaeo | 2012-02-29 17:37 | 考古学